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  第1回 創作活動と著作権

 

 著作権について考えていくにあたって、みなさんの頭の隅においてほしいことが3つあります。
 1つ目。著作権法は、何かをしてはいけませんと人々の創作活動を禁止したりするものではありません。著作権法は、創作者に一定の権利を与えてくれているものです。行使するかしないか、どのように行使するのかは創作者が決めるのです。
 2つ目。あらゆる創作物の創作者に対して著作権法が与える権利というものは、とても限られたものであるということ。何かを創作したとしても、それが著作権法で必ずしも保護されるとは限りません。また、保護されたとしても、創作者の望む形での保護ではないかもしれません。
 3つ目。著作物の創作者と利用者の間に「利用に関する約束」(契約もその一つです)がない場合に限り権利の問題となり、はじめて著作権法という法律が関わってきます。
 
 それでは、本題に入りましょう。
 誰かが何かを創作する。そして、その創作物は、何らかの媒体(メディア)を介して人々に伝えられていく。最近、この創作活動の過程においてさまざまな変化が見られます。
 文字を書いたり、絵を筆で描いたり、版画、彫刻を制作したり、音楽を五線譜にしたり、という従来の創作活動に加えて、コンピュータを用いた創作活動が行われるようになったことは大きな変化の一つです。特殊なソフトウェアを用いたり、また他人の創作物をもとに全く新しい創作物を創作したりと、創作者が独自にはじめから何かを創作する場合とは異なる、新しい創作形態が出現してきました。
 また、従来は人々が本やCD、DVD、新聞などの物理的メディアを購入することやレンタルショップでCD やDVD をレンタルすること、映画館に赴き映画を鑑賞することなどで創作物は人々に届けられてきました。しかし、特にテクノロジーの発展により、創作物が人々に届けられる過程は劇的に変化しています。インターネットを利用することにより、書店やレコード店などの他人の手を介さずに、創作者は自身の創作物を人々に届けることが可能になったのです。インターネット上のブログなども創作物といえます。自己の創作物を他人の手を介さず人々に伝えている代表的なものです。
 
 では、ワークショップはどうでしょうか。ワークショップでは人々が集まって共同してあるテーマについて、与えられた素材でモノや音楽やダンスなどを創ります。ですから、これは場を共有することによる新しい創作活動形態といえるでしょう。また、その時のワークショップの様子やそのワークショップにおいて創作された創作物を他人の手を介さずインターネット上で公開することも増えています。
 現在の著作権法は、インターネットなどのデジタル技術・ネットワーク技術などのテクノロジーや、ワークショップのような双方向的・相互作用的な創作活動の形態がなかった社会状況で作成されています。従来の創作活動と異なる新しい創作形態は、そもそも著作権法が前提としていないものです。そこで、新しい創作形態を行う創作者は、自分の創作物が著作権法の保護を受けるのか、また自己の創作物が他人の著作権を侵害しているのではないのかなど、はたと考える場面が増えているのです。さらに、著作権法に関してプロである出版社やテレビ局などを介さずに、創作者自身がインターネット上などでその創作物を人々に届けているのですから、いろいろな不安や疑問がわいてくるのも当然のことといえます。
 みなさんはいかがでしょうか。ワークショッププログラムのどこまでが創作物なのか、もし創作物だとしたらどのような権利を主張できるのか、ワークショップを企画実施する、インターネット上で成果を公開する場合、著作権を侵害していないかなどと心配になることはありませんか。
 
 このように、創作物を創作し、それを人々に届けるということにおいて従来と全く異なる状況が生まれています。こういったことから「著作権」という言葉をよく聞くようになり、加えて従来はあまり接してこなかった分野であるため、めんどうくさいもの、怖いものと感じさせている要因にもなっているようです。
 しかし、そもそも著作権、著作権法というものは、人々の創作活動を支援し、文化の発展を促進するためのものです。それは、今も昔も変わらないものであり、変わってはならないものです。この連載で少しでも著作権法について考える機会を持ってくだされば幸いです。
 次号は、「著作物とは何か」について。まず、著作権法で保護されるものは何かということについて考えたいと思います。


※この記事は『ミュゼ VOL.86』(2008.10.26発行 株式会社アムプロモーション)からの転載です。

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