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  第2回 著作物とは?

 

創作した人が創作物について持つ権利、著作権。
美術館では作品の展示やイベントなどで特に敏感になるものかと思います。
私は、教育活動に関わる著作権法上の課題について研究をしていますが、
美術館でもさまざまな教育プログラムが開催されています。
今回は、著作物とは何かについて考えてみましょう。

知的財産とは?
 新聞、テレビ、インターネット上のニュースなどで「知財」という言葉をよく聞くようになりました。「知財」は、「知的財産」の略で、一般的には人間の知的創造活動の結果である創作物といわれます。
 平成15年に施行された『知的財産基本法』という法律では、「発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの・・・商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう」と規定されています。
 ここでいう、「発明」、「考案」、・・・「著作物」、「商標」などは、特許法、実用新案法、著作権法、商標法といった法律で規定されています。また知的財産基本法では、創作物ではないけれど産業上の利用可能性などがあるということで、営業上のノウハウやトレードシークレットなども知的財産に含めています。

著作物とは?
○思想または感情を創作的に表現したもの
 では、知的財産権基本法で知的財産と定義されている「著作物」とは何でしょう。著作権法では著作物を、 “思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの”と定義しています。 “思想又は感情を創作的に表現したもの”とは、人間の知的活動の成果を客観的に表現したものであると言われています。たとえば、今日の平均株価はいくらであるか、昭和何年に何が起こったという事実やデータは、著作物とはなりません。一方、事実や自然界の事象や現象を文章として表現したり、表やグラフなどにまとめると、それは著作物となります。また、「創作的に表現したもの」とは、「ありふれた表現」ではないものとされています。誰が表現しても同様のものとなるものは、「表現」とはいえません。そこに高い芸術的価値があるかどうかは、関係ありません。ですから、幼稚園児や小学生が描いた絵も(もちろん、高く芸術的に評価されるものもありますが…)も、著作物であるといわれています。「表現」は、文字や記号、線、面、色彩、音階などによってされます。
 アーティストの藤浩志さんは、「作品っていうのは、“自分の頭のなかにあるなんかモヤモヤしたものを人に伝えるために表現したもの”なんだよね」とおっしゃっていました。まさに、それが著作物なんだろうと思います。
 さらに、“文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの”が著作物とされていますが、これは、この文芸や学術というジャンルにあてはまるか否かではなく、文化的精神活動の所産である必要があるということです。最近、デザイン性の高いコンピュータやデジカメなどの電化製品が数多く売られていますが、これらのデザインは著作権法で保護している著作物ではありません。これらの産業デザインは、意匠法などで保護されます。

○アイデアは著作物?
 さて、本や音楽、映画などは著作物であるとわかりましたが、では、絵画の作風はどうでしょうか。推理小説のトリックや、ワークショップなどを実施するためのアイデアはどうでしょうか。実は、これらは“思想又は感情”かもしれませんが、“表現したもの”ではないので、著作権法でいう著作物ではありません。よって、著作権法の保護を受けることはできないのです。
 アイデアや着想、あるいは作風等を生み出すことは、創作活動のうえで非常に重要な行為です。ときには、アイデアや着想のほうに価値があると考えられることも多々あるでしょう。しかし、著作権法などの知的財産権法が目指すものは、知的創作活動というものは、先人の知的財産を踏まえながら、さらに創作活動が行われることで文化の発展を促すということを目的としています。よって、アイデアなどを思いついた個人に過度の独占権を与えることは、文化の発展を阻害するものと考えられ、アイデアは著作権法では保護されません。たとえば、ワークショップそのものに関するアイデア、ワークショップの運営の仕方などを他人のものを真似してワークショップを実施しても著作権法違反とはなりません。もちろん、そのワークショップの企画書などがあり、非常に工夫して作成された手順などを示した図表などがあって、その図表等を他人のものそのまま使用した場合は、著作権法違反となります。


※この記事は『ミュゼ VOL.87』(2009.1.25発行 株式会社アムプロモーション)からの転載です。

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