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  第3回 著作権は誰のもの?

 

 前回では、著作物とは“思想又は感情を創作的に表現したもの”であり、アイデアや着想、作風や画風は著作物ではないということについて考えました。問題となっている作品が著作物でなければ、著作権法は適用されないので、著作権法について考える必要がありません。
 今回は著作物に関する著作権が、「誰のものであるのか」について考えてみましょう。

著作者が著作権者でないこともある
 もちろん、著作権は著作物を創作した人のものです。著作物を創作した人は「著作者」と呼ばれます。似た言葉に「著作権者」がありますが、これは、文字通り著作権を持っている人です。ですから、人は作品を創作して「著作者」になると同時に「著作権者」になります。しかし、著作者でない人が著作権者になることもあります。著作権は、譲渡できるからです。譲渡とは他人に渡すことですが、有料の場合も無償の場合もあります。重要なのは、著作権を譲渡すると著作者が著作権者ではなくなる、すなわち著作権を保持しなくなるということです。
 たとえば、著作権の権利のひとつに複製権があるのですが、この複製権を譲渡してしまうと、基本的に著作者はその作品を複製できなくなり、譲渡を受けて著作権者となった者のみが複製できることになります。
 では、著作者は著作権を譲渡してしまうと、なんの権利も持たなくなってしまうのでしょうか。いいえ、「著作者人格権」というものが残ります。著作権は譲渡できる「著作権」と、譲渡が出来ない「著作者人格権」の大きく2つに分かれていて、後者は創作した人に属し、譲渡したり、相続したりすることはできないのです(一身専属権)。【図】また、この権利は著作者の死亡によって消滅しますが、著作者の死後も一定の範囲で守られることになっています。人は著作物を創作するうえで、自分の思想や感情をその作品に込めていきます。そして、著作物に対して愛着を抱いたり、創作したことに誇りを持っているでしょう。このような著作者の精神的なものを尊重しようとしてもうけられている権利が著作者人格権です。たとえ著作権を所持していても、著作権者の尊厳を傷つけるような利用を行うことは出来ません。著作権が譲渡されれば、著作権者はその著作物を改変して作品を作ることは可能となります。しかし、例えば著作者が反戦・平和などの意図で創作した絵画について、著作権を譲渡された著作権者が、勝手にその作品を戦争を讃える意図をもって利用、改変などをすることはできません。著作者の意図に著しく反することとなるからです。
 
図 著作者のもつ権利
図 著作者のもつ権利 
『こどものためのワークショップ その知財はだれのもの?』
(株式会社アムプロモーション発行)

 
ワークショップでの創作物は共同著作物か

 では、ひとつの著作物を複数人で創作した場合は誰が著作者となるのでしょうか。その場合は、創作したひとりひとりが著作者となり、そのひとりひとりがその著作物全体に関して著作権を持つことになります。これを共同著作といいます。座談会などは個々の発言が相互に影響しあっているものであり、発言者それぞれの発言は一つ一つでは著作物にはなりません。座談会の記録なども共同著作物となるでしょう。しかし、本などで第1章は Aさんの執筆、第2章は Bさんの執筆などというように、誰が創作したものかの範囲がはっきりしていれば、それらはその範囲内でそれぞれの著作物となり、Aさん、Bさんなどの共同著作とはなりません。
 それでは、ワークショップ参加者が、アーティストのアイデアを実施して何か作品を創作した場合はどうでしょう。その作品の著作者、著作権者は誰か。あるいは共同著作なのでしょうか。ここでは、何が創作行為なのかが問題となります。ただアイデアを出しただけでは創作といえないでしょうが、ある芸術作品においてはそのアイデアを元に創作するからこそ意味がある場合もあるでしょう。しかし、共同著作物となるには、創作している当事者が共同で著作物を創作しようという共通の意思(共同創作の意思、共同意思)を持って、連携をとっていなければなりません。ワークショップのプログラム内容によっても、これはまちまちのようです。
 つまり、ワークショップ参加者がアーティストのアイデアを実施して何か作品を創作した場合は、共同著作物か、またワークショップ参加者の著作物なのか、一概に言えないということになります。
 そもそも法律というものは、当事者間でなんの取り決めがない場合に、はじめて問題となります。ですから、ワークショップ参加者がアーティストのアイデアを実施して何か作品を創作する場合、そのワークショップ参加の際に参加者とアーティストの間に何らかの取り決めを行っておくとよいでしょう。最近は、「ワークショップ中に創作した作品の著作権は、主催者またはアーティストに属する」旨が参加条件等に書かれていることが多いようです。

 次回は、いよいよ著作権という権利について詳しく見て行きたいと思います。


※この記事は『ミュゼ VOL.88』(2009.4.25発行 株式会社アムプロモーション)からの転載です。

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