ワークショップ知財研究会とは?
知的財産とは?
ワークショップと知的財産について
シンポジウム
知りたい! ワークショップの知財
リンク
home
お問い合せ
  連載「知りたい! ワークショップの知財」
menu
  第6回 「教育利用」は、マジックワード?

 

  「教育利用」というのは、権利者の著作権という権利が制限される場合、すなわち利用者が自由に利用できる場合の代表的なものです。「教育利用」ならどのような自由な利用ができるのでしょうか。美術館などのワークショップでは「教育利用」が出来るのでしょうか。具体例を見ながら考えます。


「教育利用」は、学校の授業での複製行為が基本
  「教育利用」は、著作権法第35条に規定されていて、非営利の教育機関において教育を行う場合、その授業中において必要と認められる最低限度の範囲で、他人の著作物を複製して配布すること、インターネットで配信することなどが認められています。

1)非営利教育機関
 非営利の教育機関には、いわゆる小学校、中学校、高校、大学の他に、専修学校や職業訓練所などの教育機関も含まれます。美術館は、文部科学省が指定した教育機関ではありませんが、非営利でワークショップなどの教育を行う場合は、社会教育と考えられ、その他の要件を満たせば自由利用が認められる場合もあると考えられます。
2)教育を行う
 いわゆる授業であることが基本です。「年間を通じて組織的・継続的に教育が実施される」ことが必要であり、美術館などのワークショップがこの教育に含まれるかは、このあたりが問題となると考えられます。単発的なワークショップ等は認められない可能性が高いですが、年間を通じて学習目標が定められているプログラムなどは認められる可能性があります。ただ、この辺りは法律でこうであるべきであると決められているわけではなく、いろいろな解釈がなされる部分であるので、注意が必要です。
3)必要と認められる最低限の範囲での複製、インターネット配信
 教育利用の場合は、他人の著作物を複製すること、インターネット配信することができますが、必要と認められる最低限の範囲だけというように限定されています。

 例えば、仮に美術館で行われるワークショプが上記の1)、2)の条件を満たしていたとしても、他人の著作物である画像、映像を自宅でみてほしいからといって、複製して配布することは認められません。あくまでも、そのワークショプ時間中に利用する部分だけに限られます。さらに、ある本の一部を使用するから、本全体、またはその章すべてを複製して配布することも、必要な範囲内とは考えられません。
 これと同じ理由で、インターネットで配信することもその授業時間中だけに限られます。想定されているのは、現在増えているインターネットを通して遠隔地と同時に行われる授業です。先生が授業をしている様子、またその授業で配布される資料等をインターネットを通じて遠隔地の学生に配信できます。しかし、それはその授業が実際に行われている時間だけで、資料を複製したものを授業が行われている時間外にインターネットでアーカイブ化して配信することは自由に出来ません。

「教育利用」はマジックワードではない
 ここまで著作権法における教育利用についてみてきましたが、非常に限定的で今まで教育利用と思っていたことがそうではないんだと驚かれた方も多いのではないでしょうか。「教育利用」は、非営利目的で実施される継続的に行われる授業中に限られます。よって、ワークショップ中に作成された参加者の作品に例えば人気のアニメの映像が利用されていた場合、それらをHP上に掲載することは出来ません。あくまでも授業中の利用について限られた範囲で複製とインターネット配信が認められているに過ぎません。

複製以外の行為-上映、上演、演奏-
 今回考えた「教育利用」(第35条)は、複製という利用の仕方について規定しています。実は、教育利用でも例えば授業中に、映画を上映するといった場合は、違う条項(第38条非営利利用)の適用を受けて自由に行えるというようになっています。この非営利利用のための第38条は、「教育利用」の場合よりももう少し広い範囲についての利用が可能となっているので、美術館での著作物の利用についても適用される可能性があります。次回は、非営利の上演や上映、演奏などについてみていきたいと思います。

 (詳しくは、著作権法第35条ガイドライン協議会(関係者団体の協議会)が作成したガイドラインを参照してください。 http://www.jbpa.or.jp/35-guideline.htm)


※この記事は『ミュゼ VOL.93』(2010.7.25発行 株式会社アムプロモーション)からの転載です。

menu
 
   
このページのテキストとグラフィックの著作権はすべてワークショップ知財研究会に属します。
Copyright: workshop-chizai-kenkyukai All Rights Reserved