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『こどものためのワークショップ その知財はだれのもの?』 出版記念 公開研究会シリーズ1 「ワークショップと知財について考える」

レポート/開催概要

 

ワークショップ知財研究会は、ワークショップに込められた独自のアイデアやノウハウの価値を認めつつ、有効に活用するためのシステムの確立、旧来の法では捉えきれない数々の問題点の確認、さらに今後の望ましいあり方を議論するという目的のために、2006年1月に発足しました。その後、1年間の研究会の成果をまとめた『こどものためのワークショップ その知財はだれのもの?』を2007年3月に発刊しました。
今後は、「ワークショップの知財」についてより多くの方との意見交換を通して、ワークショップにおけるソフトの権利保護だけでなく、品質保持のためのノウハウを提供し、さらに自由な活用を保証する「ワークショップコミュニティー」の創出をめざしていきたいと考えています。そのため「公開研究会」を継続していくこととし、2007年6月30日に第1回目を開催しました。

『こどものためのワークショップ その知財はだれのもの?』出版記念と題した本公開研究会では、執筆陣の一人である弁護士福井健策氏の基調講演をはじめとし、それぞれのメンバーが研究会を通して考えてきた内容について報告しました。

 
◎基調講演「ツールとしての権利と契約」

 福井健策氏(弁護士・ニューヨーク州弁護士 骨董通り法律事務所 For the Arts
 
法律とはそもそも社会が円滑に動くために作られたものですから、ワークショップの知財を考えていく上でも、よりよいワークショップを作るため、発展させるためにはどのように「知的財産」を考えたら円滑に動くのかを考えていくべきでしょう。 ワークショップの考案者、プロデューサー、コーディネーター、主催者、参加者・・・それぞれの立場によって、何を一番大切にしたいのかが変わってくると思います。
一番大切にしたいことをどうしたら大切にできるのかということを考えた時、他者に守ってほしいルールがあるならそれをきちんと守ってもらうための裏付けが必要になります。
それが著作権やその他の知的財産権を含めた「権利」であり、約束になります。
そして、「約束」は誰にでも分かる形にして残しておくことも重要です。それが「契約」ということになります。
「契約書」についての3つの黄金律を紹介します。

  1. 契約書は読んで理解するためにあります
  2. 契約書は明確でなければなりません(誰が読んでも理解が一致しなくてはなりません)
  3. 必要なことが網羅されていなければなりません

よりよいワークショップのために、ツールとして「権利」と「契約」を使いこなしていってください。

芸術文化法、著作権法を専門とされている福井氏のやわらかな話術には、誰もが引き込まれる魅力があり、難しいものと敬遠しがちな法律について「ちょっと私も考えてみようかな」と思わせてしまう魔法の力を持っているようでした。
そしてこの「私も考えてみようかな」と思うことが、「ワークショップと知財」について考える上でとても大切なことなのだと実感しました。

 
◎研究会メンバーより事例報告

  1. 「ワークショップの知財について考えるその前に・・・」
    藤 浩志(藤浩志企画制作室 代表・美術家)
         
    これまでアーティストとしてさまざまなワークショップを展開してきた藤氏は、アートが生まれる時とはどういう瞬間なのかという話とともに、ものごとの価値は「“と”の関係」の中にあるのではないかと話をすすめた。
    誰“と”、何“と”、という関係次第でものごとの価値は大きく変わるのではないか。そしてワークショップでは、おのずと「“と”の関係」からものごとが生まれている気がする。
    ワークショップでしかつくれない風景、ワークショップでしかつくれない関係、ワークショップでしかつくれない状況・・・。だからこそワークショップに魅力を感じている。とまとめ、魅力あるワークショップを拡げていくために必要なこととして知財を考えていきたいとした。
     
     
  2. 「アーティストによる、ワークショップ型授業と知財」
    堤 康彦(特定非営利活動法人芸術家と子どもたち 代表)
         
    アーティストが学校に行ってワークショップで授業を行うことをコーディネートしている堤氏は、「授業」の考え方と「ワークショップ」の考え方が根本的に違っていることと、双方に知財に関する意識が薄いことを指摘した。
    学校教育の現場においては、他の先生のいい授業はどんどん真似していくべきであるという考え方がある。またアーティストには、ワークショッププログラムを固定化することを嫌う人も多いし、ワークショップそのものが創作活動になっている人も増えてきている。
    このような状況の中、自身の活動の中でも知財が課題となった場面もあったため、今後は意識化していくことが必要だろうと述べた。
     
     
  3. 「ワークショップの普及と知財」
    下村 一(こどもの城(財団法人児童育成協会)企画研修部)
         
    全国の児童館へワークショッププログラムを普及していくことを使命の一つとしている下村氏は、ワークショップの普及にあたっては、その目的や背景などへの理解を深めてもらうようにすると同時に、知財保護という意識を伝えていくようにしていると語った。
    一方アーティストとワークショップを開発した場合は、ワークショップの開催の可否、完成作品の権利など、細かくアーティストと相談して決めているとのこと。
    そして、こどもたちによりよい遊びを提供する立場にいる者として、開発側と使用側の双方にとって利用しやすいシステムがあることで、ワークショップの質を保持しながら普及していくことができるのはないかとまとめた。
     

  4. 「優れたワークショップが広く普及するために
                  ~知財保護に向けての取り組み~」

    田村 拓(株式会社CSKホールディングス 執行役員 社会貢献推進室長)

    企業の社会貢献活動としてワークショップの開発と普及をすすめる田村氏は、多くの時間と知恵と労力をかけて開発したワークショッププログラムを、パッケージ化して全国に普及していくことを考えたとき、あらためてそれらの知的財産としての危うさに気づいたと語った。
    現在の著作権法の中ではワークショップを知財として守ることは難しい。一方、企業人としては、独自に研究開発してパッケージ化したものには企業としての知財権があるべきだと考える。
    しかしながら、研究会を通して、多くのワークショップ開発者は著作権を主張できないことについてあきらめているように感じるようになった。
    このような現状のままで、今後、ワークショップのいい形での拡がりがあるのだろうかと考えたとき、社会的コンセンサスづくりや法制度の見直しなどへの働きかけをおこなっていくことなども研究会のメンバーとして推し進めていきたいと思っているとまとめた。
     

  5. 「教育をめぐる社会の変化とワークショップの知財」
    井上理穂子(慶應義塾大学大学院政策メディア研究科後期博士課程在学中)
         
    さまざまなメディアの中での教育コンテンツの知財の在り方を研究する井上氏は、現在の法律では、教育関連での知財は必ずしも守りきれないと指摘した。
    現在は「教育」そのもののとらえる範囲が、学校教育だけに限られるものではなく、生涯学習や自分磨きの学びの場などへ拡がってきている。また、教育のためのコンテンツ提供もWEB、e-ラーニングなどと発展してきている。
    このように社会がドラスティックに変化してきた中で、著作権法の中で規定されている「教育」という範囲が、空間としてもコンテンツとしても、法的にカバーしきれなくなってきている。
    その多様化の一つに、ワークショップにおける著作権の考え方も位置づいてくるのではないだろうか。
    新たな社会の動きには柔軟な対応が必要となってくるので、ワークショップコミュニティーを構築しローカルルールを作っていくというような対応が求められるのではないかとした。

 

■おわりに
公開研究会では、少しでも参加者の皆さんの中で情報交流をしていただきたいと思い、「Cafe Chizai」と名付けた休憩コーナーやそれぞれのミュージアムやワークショップ活動に関する資料を提供していただけるコーナーを設けました。
今後もこのような形で「ワークショップの輪」を拡げていき、課題を共有しながら「ワークショップと知財」について互いに工夫できることを考えていきたいと思っています。

 
   
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